ガラスは、普通の温度では冷たい固体ですが熱を加えていき、800度前後まで温度を上げるとやわらかくなって形が変わり始めます。平らな所に重ねられた※膨張係数の揃っているさまざまな色ガラス同士は、くっついて次第に一枚の板に近づいていきます。この技法をフュージングと言います。フュージングをする時には、必ず膨張係数が合ったガラスを使います。
※膨張係数とは膨張と収縮の割合を表したものを言います。膨張係数はガラスを1度暖めるごとに、ガラスの長さが増加する割合をパーセンテージで表した数値です。 例えばブルザイ社のガラスの場合は、90×10の-7=0.0000090となりますが通常はただ90とだけ表記します。 |
そして二枚以上のガラスを溶かし合わせる時、大切なのはその温度管理です。温度管理は、ガラスを過熱することから始まりガラスを室温まで冷ますところまでが一つの大切な工程です。普通、加熱から除冷までを6段階に分けて温度管理をしています。特に加熱したガラスを徐々に冷ます(除冷)という過程はとても大切な工程です。加熱し再度冷たい固体に戻ったガラスはミクロの構造上その過程で起こるガラス内部の構造的変化が限度を超えてその破壊に向かう構造的変化が歪(ひずみ)です。
熱を使ったガラス造形を成功させる上で最も重要なことは、この歪みを最小限にとどめる為の温度管理ということになります。どのような温度管理を行えばよいかを知ることが、思い通りの造形作品を仕上げるコツなのです。ただしこの温度管理は使用する電気炉やガラスの色、性質、デザインなど色々な条件によって異なる為注意が必要です。温度管理はいろいろな条件に合わせた、成功例はもちろんのこと、失敗例も必ずデータとして残すようにしなければいけないと思っています。そうすることでその電気炉を使う際の温度管理の仕方の把握、どうして失敗したのかがわかるようになります。温度管理における6つの重要な工程は次の通りです。
|